テクノロジー活用で学力格差埋めるチャレンジ – 1

先日、Next generation learning challenges という財団が企画する学校訪問ツアーに行きました。

主にSan Francisco近郊の街、Oakland市内のチャータースクール3校を訪問しました。

チャータースクールについては前項で( *アメリカ独自のスタイル。保護者、地域住民や教育者がその地域で新しいタイプの学校を公的資金援助のもと設立。)と記載しましたが詳細知りたい方はWikipediaに分かりやすく載っていたので是非参考にしてみてください。チャータースクール Wikipedia

Oakland市はサンフランシスコベイエリアの中でもEast Bayに位置する中心都市の一つです。1970年代から犯罪率が上昇し、それ以降改善されたとはいえ、治安の面では決して良くはありません。人口の19.4%、家族の16.2%は貧困層以下と言われており、地域によっては低所得者層が住むエリアも存在し親も英語を母国語としない家庭もあります。つまり学校教育がまともに受けられず大学就業もあきらめてしまい定職に就けない若者がいる現実があります。

そんな問題に対して、学校教育の側面から解決するためにチャレンジを続ける革新的なチャータースクールを見てきました。

今回はそのうちの1つの学校を紹介したいと思います。

1. Summit Public School K-2 (Grade 7-9向け学校。日本でいう中学校)

元中国人孤児院の建物改装した校舎
元中国人孤児院の建物改装した校舎

Summit Public school はアメリカチャータースクール界のトップランナー。シリコンバレーで2003年に設立されて以来「あらゆる生徒も4年生大学へ入学させる」というミッションのもと革新的な独自教育メソッドを築いてきました。Summit Public Schoolは現在シリコンバレーで7校、ワシントンDCへも拡大し2校あり、更に2校が来年開設される予定です。Summit School HP

Summit Schoolの指導方針のコアとなる4要素はCognitive Skill (標準基礎学力)、Content Knowledge (科目の習得度)、Habits of Success (メンターの指導のもと自ら責任持ち行動)、Real-Life Experiences(実社会経験)を通し、自立した学習サイクル(Self-Directed Learning Cycle)を繰り返していくという内容になっています。

この指導方針に基づいて、各生徒のPersonalized Learning を実践しています。Personalized Learningとは個人によって学力差があるため、個人のスキル、目標に沿ってカリキュラムをカスタマイズし個人の学力にあった学習法を実践していくというものです。これらは各生徒が持つGoogle Chrome Book上でカリキュラム計画の進ちょくを管理していきます。

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1人1台Chrome bookを活用

Summit School のPersonalized Learning Planのシステムは、Facebookのエンジニアが昨年から開発に協力していたことでも有名です。またこのノウハウを更に広げるべく、一般のアメリカの公立学校に向け、無償提供してます。(Summit Basecamp

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Personalized Learning Systemのフロントページ

このPersonalized Learning Planに沿ってクラス内でレベル毎に数グループに分けます。授業の最初に全生徒にその日の学習内容をクラス全体に説明し、用意しておいたグループ毎に違うレッスンプランに取り組みます。理解に悩んでいそうなグループには先生がクラスの中で時間を取り、じっくりまた指導をします。

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プロジェクターで全体に内容をシェア

また、各生徒にはメンターがそれぞれ就きCheck-in(面談)を通して進ちょくの相談、悩み相談などを行っているようです。リアル学習も重視しているので普段はProject baseのスタイルでグループワークを行い、Real-Life Experienceのカリキュラムとして、実社会とのつながりを学ぶためインターンシップなども奨励してます。

このように、システムやテクノロジーを駆使した授業を実際に使いこなし、授業を円滑に運営するのはとっても大変なのではないか、と思われると思います。実際に、生徒の効果を最大化する”ファシリテートする”スキルが教師たちに求められています。Summitでは毎年8週間のProfessional Development(専門性養成)を行い各々の教師のスキルアップの研修を充実させています。

今回訪問して驚いたことは、このPersonalized Learning Planには、まだ中学生であるのに入りたい大学や人生の目標に向け、長期的目標が設けられています。大学入試のためには入試試験でスコア何点目指さないといけないのか、それらを年間、週間、Dailyターゲットに落とし込んでいるのです。当然ながら、Summit Schoolのミッションが、「全生徒4年生大学へ入学」と掲げているので正にそれを個人レベルに形にして実践されています。

実際に生徒にインタビューをしてみると8年生のラテン系の女の子は公立名門大学であるUC Berkeleyに入りたいという目標があるのでその目標に沿ってメンターと相談しながらコツコツとタスクをこなしていました。以前通っていた学校に比べ、Summitでは自分で学習進ちょくをマネージしていかないといけない。大変だけどそれでも勉強する意味も分かっているし遥かに今の方が充実してる、とのことでした。中学生にしては立派なコメントだなと感心しました。

Summit Schoolは創立12年になり、すでにこの教育メソッドの効果が検証されています。

卒業生の100%は4年生大学の入学資格を有し、96%は4年生大学への入学が認められ、55%が6年以内に大学コース修了しており、全米平均の2倍の実績となってます。Summit SchoolのHigh schoolはカリフォルニア州のトップ20%に入る実績も残しています。Summit Schoolの精巧な教育カリキュラムとテクノロジーの活用によって、低所得者層の子ども達も4年生大学へ入り社会で活躍していくということが既に証明されています。

Summit Schoolは、まさに革新的チャータースクールのトップランナー。教育機会に恵まれない生徒達にシリコンバレーならではのテクノロジーを駆使した革新的な教育メソッドを導入し、全米学力格差に対しチャレンジに挑む先駆け的存在です。

テクノロジー活用で学力格差埋めるチャレンジ – 1」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: テクノロジー活用で学力格差埋めるチャレンジ – 2 | 21st century 教育のかたち

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