ミネルバ大学マスターコース進学へ

私は2015年10月から約1年半ソニーの教育系スタートアップ事業に携わり、サンフランシスコを拠点にアメリカ教育業界のリサーチ活動をしてきました。また、実際にみてきたアメリカの教育現場を個人的な活動としてこのブログを通して伝えてきました。

今後の予定として今年9月から、新設のミネルバ大学 (Minerva School)マスターコース(修士課程) へ第1期生として日本人としても初めて進学することになり、「応用分析と意思決定」 (Applied Analyses and Decision Making) というテーマを研究することになりました。

今回の記事では、ミネルバ大学マスターコースでどんなことを学んでいくのか、私がミネルバで学ぶことを選択した経緯と進学後取り組みたいことについて2回に分けて書いてみたいと思います。

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(右)筆者 ISTE 全米規模最大の教育コンファレンスにて

ミネルバ大学とは

ミネルバ大学は2014年に開校されたサンフランシスコを拠点とする4年制総合大学です。創始者のベン・ネルソン氏が既存の大学が抱える課題を解決することを設立背景としシリコンバレーのベンチャーキャピタルから資金調達後、ハーバード大学をはじめとするアイビーリーグの学長、学部長らを参画に巻き込み設立されたスタートアップの大学です。すべての才能ある学生が未来の社会で活躍できる実践的な知恵を適切な学費で提供する大学です。

ミネルバ大学の授業は、オンラインで行われるため世界中のどこからでも受講が可能です。学部生たちは4年間で世界7カ国の都市を巡り、現地の企業・NPO・行政・研究機関等と協働したプロジェクト学習・インターンを経験します。 また、学生への経済的な負担軽減のために、学費は一般の米国私立有名校の1/3以下です。設立3年目にして、留学生比率は83%、学生の出身国が54カ国となる多様性を実現しています。2017年度の入試では僅か1.9%の合格率となります。(ハーバード大学5.4%, スタンフォード大学4.8%となるのに比較すると競争率は高く学生に人気となっています。)

ミネルバのマスターコース:”専門家兼ジェネラリスト”育成

ミネルバ大学は社会人向けを対象とし実践プログラムとして修士学位のマスターコースを今年から開講しました。授業は全てオンラインで実施され全20ヶ月のコース習得期間、修士論文準備期間で構成されます。コース習得期間中では、1つの専門領域からでなく、Interdisciplinary (異なる学問分野またがる)幅広い学問の領域から複雑な問題を扱い、データに基づく分析をし、問題特定、適切な意思決定を行い、最終的に有効性を査定していく能力を習得します。

特にInterdisciplinary(異なる学問分野またがる)分野を扱う点がこのマスターコースがユニークな特色となっています。”専門家兼ジェネラリスト” として1つの学問の原則を、他の学問に応用し未知な課題に対し新たに解決策を見出していく力を養います。コンピューターサイエンスのアルゴリズムや原則を主な軸とし、経済制裁の有効性や、行動経済学、ビジネス、犯罪学など様々な学問領域に関連する複雑なグローバル問題やジレンマを扱い、問題解決の手法をディスカッションしていきます。

ミネルバマスターコース副学部長はこのようにコメントしています。

現代の実社会は流動的で、個人のキャリアは常に進化し続け、関心事項も変わっていく。そして世界も絶えず変わり続けている。私たちはマスターの学生たちにパワフルかつAgile(機敏)になって欲しい。そして今後どんな状況に遭遇しても順応できるよう備えていって欲しい。

これまで特定の専門性をもつことが一人前だと重視されてきた時代ですが、既存のシステムの中では紛争、資本主義による富の分配の不平等、貧困問題、所得格差による教育機会の格差など様々な解決困難な問題が残っています。これらの複雑な問題は、1つの分野のアプローチで解決するのは困難で世の中の様々な要因が絡み合ってできています。ミネルバのマスターコースは、今後立ちはだかる課題に対して、1つの分野に特定した専門家よりも、複数またがる領域の原則を見出し未知の根本的な問題を特定できるSynthesizer(組み立てていける人)を育成するプログラムです。

ミネルバ大学で学ぶことを選択した経緯

これまで教育分野の問題解決に関心を持ち教育市場を幅広くリサーチしてきた私がなぜ専門的な教育学のではなく、このコースを選択したのか?

それは、現代未解決の問題について向き合っていくため理論的で包括的なカリキュラムを提供する教育機関は、ミネルバ大学以外にないと考えたからです。

そして私は未解決の問題の一つとして、根深い教育格差の問題に取り組んでいきたいと考えています。専門分野に限定されず様々な異なる分野の視点から教育格差問題を捉え、未来の教育のあるべき姿に向け適切に意思決定していける知識、能力を身に付けたいと考えました。先人の教育エキスパートとは異なる観点から問題解決に取り組むことで教育にインパクトを与えたいと考えます。

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Minerva School Master’s programの実験プログラムに参加したマスター生 (Homepageより)

次回に私がミネルバに進学し特にどんな教育課題に取り組んでいきたいのか。私がこれまで1年半アメリカの教育現場を見てきた活動を通して感じたことも踏まえて書いていきたいと思います。

 

 

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ミネルバ大学マスターコース進学へ」への3件のフィードバック

  1. 石川禅

    いつも、豊富な調査に基づく最先端でかつ非常に示唆に富む記事を配信頂き、とても感謝しております。この度、自らも新たなチャレンジをされるとの事、とても素晴らしいと思います。ミネルバ大学の取り組みは世界の教育のあり方を刷新していくものとして、7歳の子供の親でもある私もとても興味があります。これからも是非、配信を続けて頂ければ幸いです

    いいね: 1人

    1. 石川様、以前もコメントをいただきましてありがとうございます。今までは割と第三者的な立場で教育現場を見てレポートしていたのですがこれからは自分も「新しい教育」を体験している第一人者の立場でも発信していきたいと思います。今後ともどうぞよろしくおねがいします!

      いいね

  2. ピンバック: ミネルバ大学マスターコース進学へ – 続き – 21st century 教育のかたち

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